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不活化ポリオワクチン

ポリオ(急性灰白髄炎、小児麻痺)は、ポリオウイルスが脊髄の一部に入り込み、主に手や足に麻痺を起こす病気です。
ウイルスが口から入って腸の中で増えることで感染します。
紀元前から人類を苦しめている病気ですが、日本では1950年代後半に流行がみられ、1960年には患者数が6500人に達する大流行になりました。
この対策として、日本政府は1961年にカナダと旧ソ連から経口ポリオ生ワクチンを緊急輸入して、全国一斉投与を行いました。
その効果は絶大で、同年から患者数は激減し、1960年代後半には10例程度の患者数となり、その後生ワクチンが定期接種化された結果、1980年の1例を最後に日本国内で野生株ポリオの患者は発生していません。

このような優れた効果を持つポリオ生ワクチンにも欠点があります。
生ワクチンはポリオウイルスを弱毒化して作られた口から飲むワクチンで、ポリオに感染した時とほぼ同様の仕組みで強い免疫が出来ますが、200万人~300万人に1人の頻度でワクチンウイルスの神経毒性が復活してポリオ様麻痺が出ることがあります。
このため、最近では欧米の多くの国は、不活化ポリオワクチンを採用するようになりました。
不活化ワクチンはポリオウイルスの病原性を無くし、必要な成分を取り出して作った注射ワクチンで、ウイルスに対する腸管局所免疫は期待できませんが、血液中での免疫原性は良好で十分な予防効果があり、麻痺などが出ることはありません。
日本では2012年9月から生経口ポリオワクチンは注射不活化ワクチンに切り替わり、4種混合ワクチンの1つとして接種が行われています。

海外の一部の国では、現在でもポリオが流行しています。
ポリオウイルスに感染しても麻痺などの症状が出ないことが多いので、海外で感染した人が気付かずにウイルスを国内に持ち込み、感染の広がる可能性が残っています。
生後2か月を過ぎた赤ちゃんは他のワクチンとともに、不活化ポリオワクチンを早期に接種するようにして下さい。