風疹ウイルスによって急性の発熱と発しんを起こす全身感染症です。
患者さんの飛沫介して感染しますが、伝染力は、麻疹、水痘より弱いといわれています。
かかる年齢は1歳くらいからで、大人ではかかっても軽く済むことが多いですが、時に重症になる例もあります。
また、妊娠初期の女性がかかると、先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる可能性があります。
風疹ウイルスに感染後、2~3週間の潜伏期ののち、発熱とともに首のリンパ節が腫れて、全身に淡い発疹が現れます。
発熱するのは3~4日間で、解熱とともに発疹も消失し、麻疹(はしか)のように発疹のあとが長く残ることはありません。
一般に「三日はしか」とも呼ばれていますが、はしか(麻疹)とは異なる病気です。
通常は数日で治る病気ですが、まれに血小板減少性紫斑病(3,000人に1人)、急性脳炎(6,000人に1人)といった合併症を併発することがあります。
また、感染しても症状を示さない人が約15%存在し、発熱、発疹、リンパ節腫脹がすべてそろわない場合もあります。
妊娠初期の女性が風疹にかかると、出生児が先天性風疹症候群になることがあり、難聴、白内障、先天性の心臓病、精神運動発達の遅れ、血小板減少性紫斑病などの症状を持ったお子さんが生まれてくることがあります。
国立感染症研究所の報告では、2012年10月から2014年10月の風疹の流行で45人の先天性風疹症候群のお子さんが出生されました。
そのうち11人のお子さんが死亡しましたが、大部分は生後6か月までに亡くなりました(IASR Vol. 39 p33-34: 2018年3月号)。
風疹ウイルスに有効な抗ウイルス薬はなく、風疹にかかっても、解熱などの対症的治療しかありません。
このため予防接種の役割が大変重要になります。
通常はMRワクチン(麻疹風疹混合生ワクチン)で予防します。
定期接種では、1歳代に1回と小学校入学前の1年間に1回の計2回接種します。
保護者も、ワクチンを受けていない、あるいは検査で風疹抗体がなくなっている場合には、母親だけでなく父親もワクチンを接種しましょう。
今後は、社会全体でも風疹ワクチンの接種率を上げることで風疹の流行そのものを抑制し、妊婦が風疹ウイルスに曝露されないようにすることが重要です。